名刺の語源はやっぱり四千年の歴史の中国にアリ

インターネットの普及によって直接合わなくてもコミュニケーションをとることができる時代です。そうはいっても顔と顔を見合わせて挨拶を交し合うことがなくなることはないでしょう。新しい出会い、そういう時に自分が何者かという証明書としてのコミュニケーションアイテムとして名刺があります。
そもそも名刺の漢字をなぜ【名紙】と書かずに【名刺】と書くのでしょう? 名前を刺すなんて少し物騒な感じがします。その謎はどうやら四千年の歴史を持つ中国にあるようです。中国が「漢」と呼ばれた時代(紀元前206年頃)に漢の高祖「劉邦(りゅうほう)」という一人の英雄が名刺の原型である「刺」を使った人だと言われています。劉邦が妻を娶る際、その父親に取り急ぎ面会を申し込むため名刺に「政治献金をします」というメッセージを書き置いたというのがはじまりではないかと言われています。当時は紙に文字を書くのではなくて木や竹(紙がまだ存在しなかった時代の情報の記録媒体)を削ってそこに名前や文字を書いていました。その竹のことを「刺」と呼んでいたことから「名刺」の語源になったのではないかと言われています。
「漢」の時代から下って日本の遣唐使が活躍した「唐」の時代(618年 - 907年頃)、その頃の中国は儒教の影響により礼を非常に重んじていました。地位のある人に会う時は、まず取り次ぎの人に名刺を渡すのが習わしだったようで、現在の名刺の使い方に近くなっています。また何か正式な席に欠礼する場合、下僕に名刺を持たせて挨拶に代えることも行われていたようです。

ヨーロッパの名刺の始まりはドイツから

中国の他にも名刺(現在の名刺の原型となるもの)は世界中で使われていました。ヨーロッパの名刺の歴史はどうでしょうか。ヨーロッパで最初に名刺が使われていたとされるのは16世紀のドイツ(神聖ローマ帝国)。と言われています。訪ねた相手先が不在の時に、自分の氏名を書いたカードを置いていったというのがはじまりだと言われています。

英語で名刺のことをビジティングカードと呼びます。昔は名刺は相手が不在の時や食事に招かれた時、お祝いやお悔やみを述べる時などに使用するものだったようです。今はそういう習慣がなくなりましたが呼び方のみが残っています。 やがて名刺が18世紀のヨーロッパ社交界で大ブレイクしました。社交界らしく形式や使い方もきちんとした約束事があり、エチケットを重視されていました。絵や銅板画などが入った華やかな名刺だったようです。 19世紀に入ると現在の名刺に近くなり名前のみを印刷されたものを使用するようになりました。

文明開化とともに大きく広がった日本の名刺

それでは、わが国日本の名刺の歴史はどうだったでしょうか。日本の名刺のはじまりは19世紀初頭の江戸時代だといわれています。ヨーロッパと同じく訪問先が不在のときに氏名のみ和紙に書いて置いていったそうです。幕末の頃になると木版で彫られ印刷された名刺が使われだしていて、訪日する外国人とすでに名刺交換をしていました。そして、明治以降は活版印刷の普及とともにたくさん使われだしました。鹿鳴館では社交場のアイテムとして頻繁に使われていたそうです。
どちらかというと名刺の始まりは遅かった日本ですが、今や日本人が一番名刺を使う国民なのだそうで、肩書きに弱い日本人にはにピッタリのアイテムかもしれません。

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